2022年4月に投稿した記事を再投稿させていただきます。
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『和食の底力』を読んでいたら、そばは日本を救ってきた救荒植物であること、またそば好きに長命が多い理由が分かったので、そばの栄養などについてまとめてみます。
日本を救ってきた救荒植物
そばはタデ科の植物で、5月から6月にかけて栽培される夏ソバと、9月から栽培される秋ソバがあるそうです。
痩せた土地や寒冷地でも育つ強靭な生命力を持ち、植えて50~70日で収穫できるとのこと。成長が早い!!
そのため、飢饉などを救う救荒作物として古くから作付けされてきたそうで、『続日本記』に養老6年(722年)に、元正天皇が「日照りにより、稲が育たなかったので、応急策としてそばを作るよう」詔勅(しょうちょく)を出した、という記録があるそうです。
そばには、日本人の生命を救ってきた歴史があるのですね(*^^*)
ご著者の船瀬氏は「日本人のサバイバルのためにも、救荒作物そばを再評価するときです」と書かれていました。
これから食糧危機がやってくる、という話もよく目にしますが、育てやすくて成長の早いソバは、食糧難の救世主になるかもしれないと私は思っています。
比叡山の荒行を支えたそば
「ザルそばばかり食べていると、栄養が足りない」というイメージは勘違いで、実は、そばはほぼ完全栄養食と言っても過言ではないそうです。
比叡山延暦寺に室町時代から伝わる”千日回峰行”(せんにちかいほうぎょう)と呼ばれる荒行があります。
その踏破する距離は、なんと地球1周に相当する4万km!!
この荒行に入る前にトレーニング的な”前行”があり、100日間”五穀”を食べてはならないという「五穀断ち」をするのだそうです。
主食の米、麦、豆腐などの他、塩も摂らないのだそうです。びっくりです!!
その代わり五穀に入らないそばと少しの野菜だけで生命力を保つとのこと。
この”前行”が後の9日間の「断食・断水・不眠・不臥(ふが)」の超荒行に耐えさせる体力を養うのだ。
人間が断食・断水で生きられる限界は3日とも言われる。
さらに眠らず、横にならないで9日も過ごすのだから言語を絶する。
延暦寺の大僧正、葉上照澄師は、45歳から、この”千日回峰行”を3回も達成された、まさに超人である。
そばのスーパー栄養がなければ絶対に不可能であった奇跡であろう。
(『和食の底力』より引用)
高血圧を改善、さらに毛細血管を強くし内出血を防ぐルチンが豊富
そばはリジンや食物繊維も豊富で、さらに、そばの実に含まれるアブラ分には、コレステロールを減らす働きもあるのだそうです。
ストステロールなどのステロール類脂分がコレステロールの小腸での吸収を阻害し、血中コレステロール上昇を防ぐのだそう。
そばを食べると高血圧を改善し心臓病や脳卒中リスクを未然に防いでくれるとのことなので、そば好きに長命が多いと良く言われるのは栄養学的に理にかなっているのだそうです!
また、そばの有名な栄養素であるルチンは、フラボノイド配糖体の一種で、毛細血管がもろくなるのを防ぐ作用が確認されているとのこと。
東北大学農学部の鈴木建夫教授らの研究によれば、脳出血や貧血性の病気を予防する効果があるそうです。
ルチンは、そば粉100g中に約6,5mg含有し、産地や季節による差はほとんどないとのこと。
茹でそばに1,2mg含まれ、そば湯には2,1mg溶け出す。
昔から「そばの抜き湯で赤子が育つ」というたとえがある。
それだけそば湯は栄養豊富なのだ。
そば屋で、そば湯をサービスで出すのもまた理にかなっている。
ルチンの効能は毛細血管を強くし内出血を防ぐこと。
ビタミンCと一緒にとると、さらに効能は強まる。
つまり薬味や野菜とそばを食べれば、より理想的です。
(『和食の底力』より引用)
そばはミネラル分もバランスよく含み、カリウム、マグネシウム、リン、鉄分が多いのだそう。
特にマグネシウムは、不整脈などを防ぐ大切な効能があるそうです。
ビタミンB1,B2も豊富
そばはビタミンB1,B2も豊富なのだそう。
B1は茹でそばでも御飯の約2倍。
そばのビタミンから栄養を丸ごといただくベストの方法は”そばがき”です。そば粉に、熱湯を注いで箸でかき混ぜるだけ。
そばの香りがプーンとたって、これが実にうまい。そして早い。
インスタントそば料理としておすすめしたい。
酢醤油など、かんたんな味つけで驚くほど美味しい。
この”そばがき”にすると、たった100gで成人一日当たりのビタミンB1必要量の4割をとれる。
(『和食の底力』より引用)
私はそばがきはまだ食べたことはないのですが、そば粉に熱湯を注いで混ぜるだけとは、栄養豊富な上にカップラーメン並みに簡単なので、今度作ってみようと思います(*^^*)
また、口内炎で悩む人は、ビタミンB2が欠乏している疑いがあるため、そばを食べることをお薦めされていました。
同書に載せられていた、千葉大学教授(薬学博士)の池田仁三郎氏の下記の言葉も印象的でした。
「日本人は『くすり好き』で、とくに『ビタミン』や栄養剤というと相当の”おかね”を投じて、惜しまない。
『ビタミン』や栄養は、生鮮食品から天然の状態で摂ることが最良の健康保持法であることは、すでに証明されている。
ゆえに『日本そば』は四季を通じての優れた保健食の一つであることは当然といえよう」。