金融経済)米国金利上昇により、シリコンバレー破綻。弱い所に影響し始めている

ameblo.jp

【米国市況】株が続落、SVB破綻でリスク回避-ドル134円台後半

  • 米国債は大幅上昇、積極利上げ観測の後退も支え
  • 円上昇、対ドル一時134円12銭-スイス・フランも高い
Traders work on the floor of the New York Stock Exchange.

Traders work on the floor of the New York Stock Exchange.

 Photographer: Spencer Platt/Getty Images North America
 

10日の米株式相場は続落。米金融当局が過去数十年で最も積極的な金融引き締めを進める中、SVBファイナンシャル・グループの混乱を受けて新たな動揺が走った。

株式 終値 前営業日比 変化率
S&P500種株価指数 3861.59 -56.73 -1.45%
ダウ工業株30種平均 31909.64 -345.22 -1.07%
ナスダック総合指数 11138.89 -199.46 -1.76%

  S&P500種株価指数は週間ベースで昨年9月以来の大幅安となり、年初来の上昇分の大部分を失った。ウォール街の「恐怖指数」として知られるCBOEボラティリティー指数(VIX)は一時29と、昨年10月以来の高水準となった。

  シリコンバレー銀行(SVB)はカリフォルニア州の金融保護当局によって閉鎖され、連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置かれた。過去10年余りで最大の米銀破綻となった。米銀の経営難が明らかになったのは今週に入って2例目。銀行持ち株会社シルバーゲート・キャピタルは8日、銀行業務の縮小と清算計画を公表していた。

SVB破綻、FDICの管理下に-過去10年余りで最大の米銀破綻 (1)

  来週14日に米消費者物価指数(CPI)の公表を控えていることも、不安を増幅している。

  マン・ソリューションズのぺーター・ファン・ドーイエべールト氏は、「量的引き締めの市場や経済への影響がまさに表れ始めている」と指摘。「従って、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げ幅は、わずか数日前には50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)がほぼ確実視されていたが、25bpが再び優勢になっているようだ。最悪のシナリオは金融安定を巡る問題の兆候があるにもかかわらず、来週のCPIが高い数字になり、米当局が行動を強いられることだ」と述べた。

  マイケル・ハートネット氏率いるバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは、過去1年間の利上げは景気が過度に過熱も冷え込みもしない安定したゴルディロックスではなく、「ハードランディングと信用イベント」への序曲だったとリポートに記した。

  スワップ市場では、3月のFOMCでは0.5ポイントよりも0.25ポイントの利上げとなる可能性の方が高いとの見方が織り込まれている。米政策金利は年末までに0.25ポイント引き下げられるとの予想も反映された。

年内の米利下げ、金利スワップ市場が0.25ポイントを完全に織り込む

米国債

  米国債は大幅上昇。SVBの破綻を受けて、安全性を求める買いが強まった。2月の米雇用統計が利上げペース再加速はないとの期待を抱かせる内容だったことも買いを誘った。

  2月の雇用者数が予想以上に増加した一方で、賃金の伸びは前月比ベースで鈍化。失業率は3.6%に上昇した。

米雇用者数が予想上回る増加、賃金は伸び鈍化-FRB判断難しく (3)

国債 直近値 前営業日比(BP) 変化率
米30年債利回り 3.71% -14.3 -3.71%
米10年債利回り 3.70% -20.6 -5.29%
米2年債利回り 4.58% -29.0 -5.96%
    米東部時間 16時56分

  ブラックロックのシニアポートフォリオマネジャー、ジェフリー・ローゼンバーグ氏は、14日のCPIが予想を上回る伸びとなれば、利回りは再び上昇する可能性があると指摘した。

外為

  外国為替市場では円やスイス・フランが上昇。SVBの破綻を背景に、安全な逃避先としての買いが入った。米国債利回りの低下に伴い、ドルは総じて下落した。

  円は対ドルで1ドル=134円台後半に上昇。一時は134円12銭を付ける場面もあった。

為替 直近値 前営業日比 変化率
ブルームバーグ・ドル指数 1253.56 -5.04 -0.40%
ドル/円 ¥135.10 -¥1.05 -0.77%
ユーロ/ドル $1.0640 $0.59 0.56%
    米東部時間 16時56分

  ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、ジョーダン・ロチェスター氏は来週の欧州中央銀行(ECB)政策決定について、最近の堅調なコアCPIの数字を受けて、タカ派的なトーンを示す可能性が高いと指摘。対ドルでユーロのロングを勧めた。目標は6月までに1ユーロ=1.11ドル。

原油

  ニューヨーク原油先物は反発。ただ週間ベースでは下落した。市場参加者が中国の需要動向を見極めようとする中、マクロ経済面の逆風に押された格好。

  強気派は供給減が主導する形での相場上昇を期待していたが、制裁措置を受けて大幅に減ると見込まれたロシアの原油生産量はこれまで日量1100万バレルと、底堅さを見せている。 

Oil Remains Rangebound in March as Traders Wait for Catalyst | Crude futures have been stuck in a $5 channel this month
 
 

  ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比96セント(1.3%)高の1バレル=76.68ドルで終了。週間ベースでは3ドル下げた。ロンドンICEの北海ブレント5月限は1.19ドル(1.5%)高の82.78ドル。

  ニューヨーク金先物相場は続伸し、約1カ月ぶり高値を付けた。2月雇用統計が強弱混在の内容となる中、米銀の経営難が相次いだことで逃避先資産として金を買う動きが強まった。

Seeking Safety | Bullion surges amid a mixed US jobs report and widening bank jitters
 
 

  オアンダのシニアマーケットアナリスト、エド・モヤ氏は「ウォール街は金への回帰を急いでいる。雇用統計がまちまちな内容となったことで米利上げ見通しが後退したこと、銀行セクターの苦境は始まったばかりだとの警戒感が背景にある」と述べた。

  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は、前日比32.60ドル(1.8%)高の1オンス=1867.20ドルで終了した。週間ベースでは2週続伸。

原題:Wall Street Shuns Risk as Bank Jitters Hit Trading: Markets Wrap(抜粋)

Treasuries Surge as Investors Rush to Safety After SVB Collapse(抜粋)

Bond Traders Dizzied as Market Lurches From Rout to Epic Rally(抜粋)

Franc, Yen Jump as SVB Failure Stirs Haven Demand: Inside G-10(抜粋)

Russia’s Resilience May Thwart Predicted Oil Market Squeeze(抜粋)

Oil Cements Weekly Loss as Macro Gales Whip Crude To and Fro(抜粋)

Investors Flock to Gold Amid Mixed US Jobs Data, Bank Woes(抜粋)

 
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中   LEARN MORE