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万引き多発で店舗閉鎖、国民の64%がその日暮らし…アメリカは格差社会から総貧困化時代へ

2/28() 6:01配信

 

 

デイリー新潮

「景気後退しない」は本当か

 

 米SPグローバルが221日に発表した2月の米国購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合で前月比3.4ポイント増えて50.2となり、好不況の節目である508ヶ月ぶりに上回った。

 

 インフレを抑え込むために米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを行っている影響で「今年の米国経済は景気後退入りする」と予測されていたが、このところ新たなシナリオが浮上している。

 

 経済が減速せずにむしろ加速するという「ノーランディング」論だ。

 

 その主な根拠は米国のGDP7割を占める個人消費が予想外に強いことだ。

 

 米商務省が215日に公表した1月の小売売上高は前月に比べ3%増加した。3ヶ月ぶりに増加に転じ、市場予想を上回った。

 

 数字はインフレ調整がなされていないが、1月の消費者物価指数CPI)の前月比0.5%を大きく上回っており、「FRBが急ピッチで利上げを進めた後でも消費の底堅さが浮き彫りとなった」と評されている。

 

 前述の小売売上高では「飲食」が7.2%増となり、全体を牽引した形となっているが、「米国人は金がなくても飲食を減らすことができない」という特有の事情が働いている。

 

 市場調査会社ミンテルによれば、価格が上昇し、消費者のインフレに対する危機感が高まる中でも、ポテトチップスやポップコーンなどのスナック菓子の市場は成長し続けている。スナック菓子はストレス発散に役立つと考えられているからだ。

 

 米国でのアルコール飲料の消費も増えるばかりだ。

 

 米国の2049歳で死亡した人のうち、5人に1人は飲み過ぎが原因だった(米疾病対策予防センター(CDC)調べ)のにもかかわらずに、である。

 

過去最高を更新したクレカローン残高

 懐に金がなければ借りればいい。米国人のカードによる旺盛な消費は周知の事実だ。

 

 米ニューヨーク連銀が216日に発表した第4四半期の家計債務・信用統計によれば、米国の家計債務は169000億ドルとなり、過去20年で最大の伸びとなった。

 

 クレジットカード・ローンの昨年12月末時点の残高は9860億ドルとなり、過去最高を更新したが、延滞や不良債権の比率の増加が目立ち始めている。今後、低所得層を中心に消費意欲が低下する可能性が指摘されている。

 

 自動車ローンの残高も急増している。

 

 民間調査会社によれば、新車の月平均支払額は777ドルと過去最高となっている。この金額は米世帯の税引き後所得の中央値の6分の1に相当しており、2019年末の2倍近くとなった。

 

 自動車ローンの負担が高まっているのは、自動車企業が在庫を低水準に抑え、高価格を維持する新たな戦略を採用していることが影響している。

 

 米国の典型的な世帯にとって新車は「高嶺の花」になりつつあり、自動車ローン分野でも大量の焦げ付きが発生することが懸念されている。

 

 オンライン融資仲介大手のレンディングクラブが昨年12月に実施した調査によれば、米国人の64%が「『その日暮らし』の生活を送っている」と回答している。1年に10万ドル以上の収入がある人でも半数以上が「余力がない」と答えており、同社は「インフレの影響は全ての米国人の財布をむしばみ、給料ぎりぎりの生活を送る人は過去最高水準に達している」と指摘している。

 

 エネルギー価格の高騰は国民生活を窮地に追い込んでいる。

 

 昨年1月から10月にかけて30州とワシントンDCでは、料金滞納による電力会社の断電措置回数が前年比29%増の150万回超えとなった。ガス供給が途絶えた件数も前年に比べて76%も増加した(130日付ブルームバーグ)。

「国民総貧困」時代

「万引き」が米小売店の経営上の問題になっていることも気になるところだ。

 

 日本でも書店などで万引きの被害が相次いでいるが、米国の規模は桁違いだ。

 

 米国の万引き被害は年間950億ドルに達すると言われており、小売業全体に深刻な影響を与えている。

 

 米国の小売大手ウォルマートのマクミロンCEOは昨年12月「万引きはこれまでになく増加している」と述べ、「万引きが減少しなければ、値上げや閉店せざるを得なくなる」と危機感を露わにした。

 

 大手スポーツ用品企業ナイキも今年2月「万引きが横行している」ことを理由にオレゴン州ポートランドにある歴史ある店舗の閉鎖を余儀なくされている。

 

 米国は「格差社会」から「国民総貧困」時代に入った感があり、「米国消費」の力強さは見かけ倒しの可能性があると言わざるを得ない。

 

 米世論調査会社ギャラップが28日に公表した調査によれば、米国人の約半数が「1年前より経済的に苦しい状況だ」と考えているが、約6割の米国人は今後の懐具合については楽観的だ。楽観論の支えは堅調な雇用市場だが、米国企業の減益基調が鮮明となり、高止まりする人件費の抑制を急ぐ動きが強まっている。

 

 全米企業エコノミスト協会の1月の景況調査によれば、米企業の約2割が「今後3ヶ月以内に人員削減などを実施する」としている。

 

 好調に見える米国経済だが、「一寸先は闇」だ。「ノーランディング」論はあまりに楽観的にすぎるのではないだろうか。

 

藤和彦

経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

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