日銀は24日に日銀が保有する国債の銘柄別残高(1月21日現在)を発表した。

 

 これによると、10年債の4銘柄で発行額に対する日銀の保有残高が帳簿上の計算で100%を上回った(24日付日本経済新聞)。

 

 その4銘柄とは日銀が「毎営業日連続無制限指し値オペ」で購入対象となっている10年債カレントの3銘柄の369回、368回、367回。そして債券先物3月限のチーペスト(再割安銘柄)となっている10年債の358回である。

 

 日銀による保有残高は369回が3兆0265億円、368回が8兆8432億円、367回が8兆6538億円、そして358回が7兆8746億円となっていた。

 

 24日付日本経済新聞に掲載されていたQUICKによる発行残高に占める日銀の保有比率が、369回111.24%、368回が103.55%、367回が106.28%、そして358回が114.76%といずれも100%を超えていた。

 

 つまり発行額以上の国債が日銀に売却されていたことになる。これがどうして可能となるのか。

 

 日銀による補完供給オペ(現先方式)を通じて該当銘柄を借りた市場参加者が、それをほかの業者なりに売却(結果として空売り、ショートとなる)、それを買った業者が日銀に指し値オペ売却したためと考えられる。

 

 10年債の同一銘柄は3か月毎に変わる。つまり369回の発行月は1月、2月、3月となり、あと2回発行される。このためそのショートカバーは技術的には可能となる。しかし、369回以外の3銘柄は財務省による流動性供給入札による追加発行頼りとなってしまう。

 

 これにより、2月と3月に追加発行される369回はさておき、10年債カレントの368回、367回や債券先物3月限のチーペストの358回に対する日銀の指し値オペはほぼ意味がなくなってくる。

 

 このための代用品として期間5年以上の共通担保資金供給オペレーションを日銀は設けたわけだが、結果としてこれは追加緩和のような格好となり、ますます物価高というファンダメンタルズに即さない政策ともいえる。

 

 国債イールドカーブは、369回が0.435%、368回が0.155%、367回が0.220%となるなど歪がさらにひどくなっており、債券市場の機能は回復どころかさらに低下した格好となっている。

 

 これは仕掛けたヘッジファンドなど海外投資家などが悪い、勝手な思惑で仕掛けた債券村の住人が悪いわけではない。日銀の現在の政策とそれを無理矢理押し通そうとしている施策そのものが原因である。3月まで本当にこれを続けるというのであろうか。