上海では、1984の管理社会を実行し、人口削減も行っている

gendai.media

2022.04.30

 

餓死、自殺、暴動…中国・上海「ゼロコロナ」政策で起きている「ヤバすぎる光景」

それでも習近平は政策転換しない
 

何においても「感染者ゼロ」が最優先。医療や食料は後回し。人権なんて知ったことか。すべての住民を監視して、抵抗する者は容赦なく叩きのめす―。笑えない冗談のような話が、お隣の国で起きている。

空中のドローンが警告

「死にたくない!」
「食料が足りない!」
「頼むから、病院に行かせてくれ!」

真夜中、何十棟も建ち並ぶ高層マンションから悲痛な叫び声が次々と聞こえてくる。窓から住人たちが助けを求めているのだ。すると、上空でチカッチカッと光を放ちながら無人の飛行体がゆっくりと飛んでくる。

小型ドローンだ。突然の事態に住民たちは叫ぶことを忘れ、闇の中を注視している。マンションの最上階くらいの高度で停止すると、そのドローンから女性の自動音声が大音量で流れ始めた。

「ロックダウンの規制を守ってください。自由への欲求を制御してください。窓を開けたり、歌ったりしないでください」

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何度か同じ内容を繰り返すと、ドローンは夜の闇に消えていったー。

まるでジョージ・オーウェルSF小説1984』で描かれるような世界だが、これはフィクションではない。人口約2600万人を誇る中国最大の経済都市・上海で起きている出来事だ。この異常事態を撮った動画がSNSで出回っている。

新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中国では、上海をはじめとする45都市でロックダウン(都市封鎖)が行われている(4月22日現在)。

この2年間、世界中が新型コロナの対応に苦しむ中、中国だけは感染の封じ込めに成功してきた。感染爆発が起きたのは、新型コロナの震源地・湖北省武漢だけだった。なぜ今になって、このような事態に陥っているのか。

「いまや、どの国も新型コロナと『共存』する道を選んでいるのですが、中国だけは徹底的にウイルスを封じ込める『ゼロコロナ』政策を進めています。これが、症状は比較的軽いが感染力が非常に強いオミクロン株が出現したことで、立ち行かなくなってきたのです」(ジャーナリストの福島香織氏)

全市民に強制的なPCR検査を繰り返し、一人でも感染者や濃厚接触者が出たら即座に隔離。彼らがいた居住地域一帯を封鎖し、感染を抑え込む。

この「ゼロコロナ」政策は、無症状感染者が多いオミクロン株と相性が悪いと言わざるを得ない。

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感染者数が爆発的に増えた上海では、3月28日から順次ロックダウンが行われた。当初は4月5日に解除される予定だったが、感染者数が抑えられず、延長に延長を重ねた。解除された地域は少しずつ増え始めているものの、都市封鎖が長引く地域では冒頭に紹介したような阿鼻叫喚の光景が広がっている。

耐え切れず飛び降り

「外に出られないため、食料は政府からの配給頼りです。ただ、地域によっては行き届かないこともある。何日間も食事を摂ることができずに飢えの危機に直面する人もいました」(福島氏)

実際、中国のSNSでは餓死した人の映像が出回っている。

「飢えへの恐怖から、窓から助けを求める人は珍しくない。それどころか徒党を組んで暴動を起こしたり、スーパーで略奪などを行ったりして警察官と乱闘になることもあるんです」(福島氏)

こうした市民の動きを重く受け止めた政府当局は、厳しい管理態勢を敷くようになった。拡声器を搭載したドローンや犬型のパトロールロボットを街中に放ち、市民を監視・警告するのだ。

ロックダウンによって直面する危機は飢えだけではない。医療が行き届かなかったことで死に至る住民も続出している。

医師や看護師が自宅待機になり、すべての病院が人手不足に陥った。いざ救急車で運ばれても門前払いを食らったり、適切な治療を受けられなかったりして亡くなる人が後を絶たない。

ぜんそくの症状を訴えた看護師が、病院で診察を受けられず亡くなりました。PCR検査をして、結果を待っている間に亡くなってしまったのです。

自宅待機が続く住民には、いざというときに病院を頼れないという環境が精神的負担になっていることは間違いありません。定期的に人工透析を受けている人や持病の薬が欠かせない高齢者は、毎日のように命の危機に瀕しています」千葉大学客員准教授の高口康太氏)

待てど暮らせど、薬も食料も届かない。重い病気にかかった場合は苦しみ続けるしかないー。

この異常な環境下、精神的に追い込まれた末に自殺する人も相次いでいる。上海では、新型コロナの死亡者よりも自殺者のほうが多いという報道も出ているくらいだ。

長期にわたって自宅から出られないと、うつ状態に陥りやすい。外出制限で病院に行けないため、抗うつ薬も手に入らない。結果、窓から飛び降りたり部屋の中で首を吊ったりしてしまう。

医療機関に診療を断られ、遺書に「痛みに耐えられない」と書き残して飛び降り自殺をしたバイオリニストもいる。遺書を見つけた家族が、中国のSNSに自殺に至ったいきさつを発表して、国内では大きな波紋が広がった。

PCR検査をして陽性だと判明した場合も地獄が待ち構えている。警察官が家にやってきて、隔離施設に送られるのだ。

「感染者の増加に対応するため、急ピッチで隔離施設を増やしたので環境が劣悪であることが多いんです。多くの建物で雨漏りが起きていて療養どころではありません。しかも、広い空間に雑然とベッドが並んでいるだけ。さながら野戦病院ですよ」(ジャーナリストの姫田小夏氏)

今年3期目の続投を狙う習近平が「ゼロコロナ」政策が失敗だと認めれば、自らの権力の地盤も危なくなる。そのためこの政策の方向転換をすることができない。

だが現実には中国のコロナ対策は失敗だった。4月上旬以降、一日の市中感染者数は2万人を超え続けている。そして、このパンデミック中国経済だけでなく、世界経済をも崩壊に導く引き金になるかもしれない…。その理由を後編記事『中国「ゼロコロナ」政策の失敗が、「世界経済クラッシュ」の引き金になるかもしれない…!』で専門家が指摘した。

週刊現代』2022年4月30日・5月7日号より

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