日銀が異次元緩和を転換、狙いと影響は?
2022年12月21日の日本経済新聞朝刊1面に「日銀、異次元緩和を転換」という記事がありました。日銀は金融政策決定会合で、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度から0.5%程度に広げました。日銀がこのタイミングでの政策修正に踏み切った狙いはどこにあるのでしょうか。
ここが気になる
長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、市場は今回の決定を事実上の利上げと受け止めています。しかし、黒田東彦総裁は「金融緩和の効果をより円滑にするためのもので、利上げではない。金融引き締めではない」と強調します。経済の成長や雇用改善、賃上げが期待され、「景気にはプラスではないか」としています。
歴史的なインフレで海外の中央銀行が利上げに動くなか、債券や株式の市場機能低下や内外金利差に伴う円安など、異次元緩和の副作用に批判が強まっていました。日銀は金融政策で長期金利を人為的に押さえつけていましたが、「市場機能が大きく損なわれる状況が出てきた」(黒田総裁)と説明しました。
決定を受けて10年物金利は20日、一時0.460%と7年5カ月ぶりの高水準に急騰しました。税収で返済する必要のある普通国債の残高は1000兆円規模まで膨張しています。金利が上昇して利払い費が増えると、他の政策経費の歳出余地を一段と圧迫することにもなります。